つる

 雑木林のすぐ横にある
 電柱の支線に
 つるが絡まっている

 木の集団から逃れようと
 助けを求めて
 手を伸ばすように

 掴んだ支線は
 ただ風に吹かれて揺れるだけ

 仕事で失敗した日の帰り道
 全てから逃げてしまおうかと
 夜の川を眺めながら思った

 大人になってしまった私は
 他力本願では生きられないと
 勘違いしていた

 つるは
 支線を離すことなく
 ゆらゆらとぶら下がっていた